両替 - 光景ワレズ

花売りの少女。特に欲しいとは思えない花の飾りのようなものを売ろうと散歩しているぼくについてくる。そういうのはいらないよ、と言うと、じゃあ買わなくていいから金をくれと言ってくる。この時点でストレートすぎて逆にちょっと面白いのだが、ちょっとならいいかと甘い顔をするとキリがないのは日本国内の諸々のケースでもよくあることで、いわんやインド人をや、というところである。ただこの少女は少し違って、日本の金を両替してくれと言ってきた。実際に日本円にして数十円を持っており、これをルピーと交換して欲しいという。よくガイドブックなどには5円みたいに穴が開いた硬貨は世界的に珍しいから喜ばれる、なんて書いてあったりするが、この少女にとってはおそらく一生行けることもない遠い国のはした金よりも、実際にこの辺で買い物ができるルピーのほうが嬉しいに決まっている。別に数十円なんぞについてこんな子どもと等価交換するというのも、日本に帰ってきた今の感覚で言えばある意味非道な面もなくもないと感じるが、そこはフェアに取引するのがやはり正しい。なので少し色をつけてルピーに両替をしてあげて、その代わりということで一枚撮らせてもらった。じゃあねと言って歩き出すと、すかさず別の花売りが、お前ジャパニーズコイン持ってるだろう、ソレちょうだい！とたかってきた。ほら、キリがない。なんという無限1UPだ。