光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

善意

MINOLTA CLE / Elmar 5cm F3.5 (FP4 PLUS)

インド旅行記(14)

ぼくの持っているバラナシ行き列車のEチケットには席番号が書いていなかった。インド鉄道の従業員関係らしき人に聞いてみても、例によっていまいちな答えばかりだ。中には「これは予約キャンセル待ち状態だから乗れない」とか言ってくる奴まで出てくる始末で、この辺は「わからない」と言えない国民性がよく出ている。しかし困っているぼくを見かねて、同じ2等車の乗客のインド人が、わかるまではここに座ってろよと席を空けてくれたり、自分の携帯でぼくのチケットの番号からどの席がアサインされているかを検索して教えてくれたりした。ぼくもSIMロックフリーiPhoneを持って行っていたので後でわかったのだが、インドの携帯では結構SMSの仕組みを利用して鉄道や飛行機や天気や占いなんかの情報の取得ができるようになっていて、まあ要はiMode的なものだが、そんなので通信代を自腹切ってわざわざ調べてくれたのだ。貧すれば鈍すというわけではないが、やはりエアコン付き車輌に乗れるような身分のインド人は違うのである。そしてぼくは困っている外国人を見たら積極的に助けられるだろうか。浅草近辺を散歩しているとよく道を聞かれたり銀行の場所を聞かれたりするが、残念ながら聞かれたから答えているだけだ。 そんなわけでようやく自分の正式な席(寝台になっているのでベッドを兼ねる)を見つけると、そこには日本人が寝ていた。上段と中段を間違えてしまったらしいので、そのままその人の席と入れ替えで寝ることにした。空調が寒すぎるの以外は特に問題なく、拍子抜けするほど快適であった。 一方、この翌日にバラナシで会った、同じ列車のスリーパークラス(エアコンなしで、一応席は決まってるらしいがほとんど無視されて勝手に居座られるケースもあるとかいう安い車輌。当然金のない人はこっちに乗る)に乗っていた学生さんの一人は、荷物を盗まれて傷心のまま予定を早めて帰国していった。金額は倍くらい違ってくるが、それでも差額は1000円程度の世界なので、安全を買うと思えば安いものだ。と今なら言いたいところだが、現地の金銭感覚に慣れてしまうと10円20円の金額交渉をフツーに真剣にしちゃうようになってしまう(他方でまったくそうならない人もいるので、日本人はカモネギと認識される)。これがまた難しいところだ。

写真は日記の進行から先取りしてガンガーの朝日。