光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

天運

MINOLTA CLE / Elmar 5cm F3.5 (FP4 PLUS)

インド旅行記(13)

アーグラーから、ガンガーや沐浴や火葬場などで有名なバラナシへと向かう。この時点ではバラナシに2泊する予定にしているので、いちおう旅のメインに考えている場所だ(当然、バックパッカー的な旅なので予定は全然変えてしまうこともある)。なんと準備のいいことに、ぼくは日本でインドのこの列車のチケットをネットから買っておいたので、基本的には問題なく乗れるはずだが、まあインドのやることなのでその辺は信用できない。大分早めに駅に行ってしまったが、やっぱり出発は遅れるのでこれまた待ち時間が長い。窓口の人に本当に予約できているのかを確認しようにも、やっぱり人が滞留していて聞くことができない。窓口業務の様子を見ていると、列を作るというよりは我先に聞くようになっており、また窓口のほうもひとりで聖徳太子よろしく数人を同時にさばこうとしているので、結果効率が悪い。一応Webから予約できたものの、窓口の人が触っている端末の画面はMS-DOS時代のコマンドインターフェース画面といった体で、どこがIT大国なのかつくづく疑問である(まあ、日本でも裏方のシステムは得てして古くさいものがずっと動いていたりするものだが)。なので諦めて、待合室でたまたま出会った日本人の学生さんと一緒に駅近くの市場へ買い物へ出た。インドの街はどこにいってもゴミとホコリとウンコと泥水にまみれていて言うまでもなく汚いのだが、別にインド人が汚いのを気にしない、というわけではないのだなぁと妙に感心してしまったことがある。 その市場は線路の脇にあり、列車の線路はちょっとした高架になっていて、線路の下をくぐる格好になっている。土曜日の新宿くらいの密度の人がそこを行き交っているのだが、ある瞬間ピタリと皆の動きが止まった。なんだろうと思ったら列車が上を通過するようで、むしろ列車が来ているのに普通に線路にいたりするくせになんでこんなところでだけ止まっているのだろうと思った次の瞬間、列車の下から何かが次々と降ってきているのが見えた。そういえば、列車のトイレの底はただの穴だった。この下をくぐると糞尿シャワーまみれになること請け合いなわけで、皆それを避けるために止まっていたのだ。そういう感じで運良くウンコを避け、駅に戻り列車を待った。ぼくはクーラーの効いた涼しい車輌だが、学生さんたちはエアコンのない安いグレードの席を取っているため、同じ列車ではあるがここで一旦別れる。これから12時間以上の夜行列車の旅だ。

写真はアグラフォートにて。このインド人が立っているところから、数キロ先にあるタージマハルがよく見える。