光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

送迎

MINOLTA CLE / Elmar 5cm F3.5 (FP4 PLUS)

インド旅行記(02)

成田からインドまではエアインディア直行便を利用した。殺人的にクーラーが効きすぎていた機内で配られたブランケットに必死にくるまって寒さに耐え、機内で流れている映画の意味不明な部分で爆笑しているインド人に眠りを妨げられ、飽きが最高潮に来てグズりまくっている幼児を抱えつつも自分が日本人だとばれないよう言葉をかけてあやしたり注意したりしない親にイラっとしたりしながら約8時間の後にデリーのインディラ・ガンディー国際空港に到着した。 デリーの空港到着ロビーの客引きはあまりに悪名高く、多少の予備知識を備えたぼくのような初心者はホテルまでの送迎を予約するのがセオリーらしい。よくよく考えるとこの送迎はインドの相場からして結構高価いのだが、安心料だと思えばなんということはなく、またまだこの時点ではインドの物価でものを考える状況ではないので要するにおすすめだということである。後に旅の途中で出会った人はガイドブックに書いてあるままのパターンで空港タクシー→勝手に悪徳旅行代理店直行→割高な観光ツアーパック組まされ→猫起きる、ということになったという話も聞いた。 荷物受け取り、出国手続きと両替を問題なく済ませ、出国ロビーに出るとぼくの名前を掲げたおじさんがいた。日本で手配しておいた迎えのタクシーだ。 自分で手配しておいておきながらも何でもあやしく見える段階なので多少警戒しながら車に乗った。と、少し走り出したところで、おじさんは突然Uターンをし空港の方向へ逆戻りし始めた。おいおいこれだけ信頼できると評判の代理店だったのに早速かよ、と思うものの、頭がまだまったく英語モードになっておらず(もちろんモードになろうがなかろうが言うほど喋ったり聞けたりできるわけではない)「どうしたんだ?」と聞くだけの英語すらまだ頭から出てこない状態でただ様子を見守っていると、おじさんは空港に乗り付け突如車を降りて走り出していった。そして数分後フーフー言って汗だくになりながら帰ってきた。単に忘れ物をしただけのようだったが、ぼくの脳はそれを確かめる英単語がまだ出てくる状態ではなかった。