帰国 - 光景ワレズ

9月の東京の空気は想像よりも澄んでいた。足全体を引き締めるいつもの革靴の感触は新鮮で心地よかった。たった一週間だけ、日本に、この街に居なかっただけなのに色々なものが目新しい。お気に入りのファミレスは潰れて別の店舗になっていた。完全に沈黙している腕時計のゼンマイを巻きながら、いつもの時刻のいつもの電車にいつものドアから乗り込む。こういうのは悲しいことに身体が覚えており、すべての挙動に違和感は無い。帰ってきたんだなあ、と少し調子の下り坂な腹をさすりながら改めて思う。帰国初回の夕食は、なぜか和食ではなくインド料理屋に行ってしまった。やはり日本のインドカレーは旨い。

そう、料理屋に入るその前一週間、インドに行ってきたのであった。しばらくその記録を書き連ねていきたいと考えている。どうだった？と感想を聞かれた場合は、一言で言うといろんな意味でくそったれな国だった、と答えている。今回の旅行では、牛糞は1回しか踏んでいないはずだ。