光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

震災(1)

SIGMA DP2x

東日本大震災の被災地を(こういう言い方は不謹慎かもしれないが、「復興する前」に)実際に見ておきたいという思いが強く、何日かの休みを使って実際に行ってみた。事前にどこのあたりに行けばいいかという情報があまりまとまったものが見つからず、結局どこかのブログで紹介されていた『復興支援地図』だけがほぼ頼りとなった。要するにほぼ太平洋沿いなので、これを順に南下すればいい、という結論に至り、この地図を片手に岩手県宮古市から車を借りて福島県いわき市までを駆け足で見てきた。 こういう行為は単なる野次馬根性と捉えられてしまうのでは、という後ろめたさもあり、本来ならばボランティアのかたちで行き、ついでに見るというほうがいいのかなとも思ったが、ぼくが肉体労働をするのはあまり適材適所とは言えないと考え、遠慮なく金を使うということで良しとすることにした。 話として前後するが、石巻で出会った人(家が全壊しモノもすべて失ったそうだ)に上記のような主旨を話したところ、そういうのは全然悪いと思わないし、もっとどんな現実なのか、それが酷いのかを伝えてほしいと言ってくれた。当事者の賛同を得たのはこの上なく心強かったが、しかしそれが被災者の総意とは思わないし、ぼくの行為を不快に思う人もいるだろう。ただぼくはぼくの正しいと思ったこと、自分に最適なことを考えた結果として、駆け足にでも実際の状況を見て触れて嗅いで話して聞いて、そして写真を撮ることにしたのだ。そうしてこんな泡沫ブログを見たりTwitterでフォローしてくれたり、実際の近しい人程度の範囲だけでも、テレビよりナマに近い情報を出せればと考えたのだった。

さて、「復興する前に」なんて書いたが、その不謹慎な言い方を引き継いで言うならば、全然急いで見てくる必要なんてなかった。なぜなら、8ヶ月たった今でも、全然復興が進んでいる、街が生まれ変わっている様子なんてなかったからだ。これが東京にいて日常を送るなかで一番のギャップを感じた現実だった。