光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

記録

MINOLTA CLE / Elmar 5cm F3.5 (FP4 PLUS)

インド旅行記(10)

翌朝、ぼくは6時に起きて宿の屋上に向かってみた。もう日は出掛かっており、タージマハルも良く見えた。前評判どおりきれいな建物だが、どうもこのきれいさは周りの汚さあってのものであることに気づいてきた。単品では実は大したことはない、というほどでもないが、いろんな表情を見なければ、とは思った。 さて、ぼくがこの屋上レストランに上がってきたとき、ある鉢植えのひとつがぶっ倒れて割れていた。この後宿の人が来てぼくのせいだと思われたら嫌だなあと思っていると、遠くにサルの群れが見えた。どうやらこれの犯人はサルらしい。鉢植えを片付ける宿の親父もわかっているようだったが念のため、これはサルの仕業なのかひどいなあ、などと話しかけていかにもぼくがやったのではありませんよということをアピールした。 大体の宿のアフターサービスとして、泊まった客はチェックアウトした後でも荷物は預かって貰えることになっているとぼくは認識している。大荷物を持ったままうろつくとエンカウント率が大幅に上がるし、そもそも重いのでできるだけ背負いたくない。 しかしこの宿のフロント陣の一人にむかつく若ハゲがおり、チェックアウトの際のフロントはこいつだったのでどうも信用できず、なので荷物を預けるのは止めてタージマハルの荷物預け所を頼ることにした。 やはりバックパックを背負ったタージマハルまでの道中のエンカウント率はすさまじいもので、これだけで相当に体力を消耗した。立ち止まって地図を確認したりし始めたら大変なことになることは目に見えているので、確信のないまま、しかし歩みは止めないようにする。 タージマハルはそれなりに大きな建物なので遠くには見えるでそっちの方向に歩いているうちに、住宅街に迷い込んでしまったようだ。客引きなどはいなくなったが、逆になんだこいつはという住人の視線を浴びる。そうしていると、なにやら子供が話しかけてきた。客引きの類だろうかと最初無視したのだが、ぐるぐると迷っているうちにもう一度会ってしまった。よくよく喋っていることを聞くと、写真撮ってーと言っている。写真を撮らせて金を取ろうとする子供もいるが、別に何も言わなかったので本当に撮ってほしかっただけのようだ。住宅街の中だからか、ここが観光地といえどもそこまでスレているわけではなく、単純にデジカメなどが珍しくて自分の姿が見れるのが楽しいらしい。でもぼくの持っているカメラは古いカメラだから撮った写真は見れないんだごめんね、と言って子供にバイバイした。本当は記録用でデジカメも持ってるのでそっちで撮ってあげれば良いんだけど、なぜかほとんど会った人はデジカメでは撮ってないんだなあ。ぼくの中ではフィルムが記憶用、と位置づけているからだろうか。