光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

線引

Leica MP / Summaron 35mm F2.8 (DELTA100)

数年前、大船渡線気仙沼方面に向かっている車内で撮った1コマ。名前も知らない人だけど、自分の撮った手持ちの写真の向こうにいる人たち。その人たちが今、どうなのかと考えると、さすがに胸が痛む。

しかしネガティブな事象において、あまり自分の中での有効範囲を広げるのは、決して得策ではない。それは自分自身にも重いことだから。その辺の整理が単に巧くないことと、大いなる正義感とを勘違いしてるような人は、むやみに有効範囲を広げて自爆する傾向がある。

ペルーの旅から帰る折、ペルー人や各国の旅行者、トランジットで立ち寄ったアメリカなどでいろいろな人から声をかけてもらった。だけど決まって皆、「お前の”家族”は大丈夫か?」と心配するのである。そして両親も兄弟も大丈夫だよありがとう、と答えると、それはよかった、と言ってくれるのである。これはある種、とても正しい有効範囲の設定だ。 だけど敢えてやっぱり、被写体になってる人には親近感を抱いてしまうというか、ぼく自身の精神衛生上はよろしくないことなんだが、無駄に想像してしまうんだな。ガラにもなく募金したりしてるのは、そういう理由もあるということにします。