光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

菊谷

Leica MP / Elmar 3.5cm F3.5 (HP5 PLUS)

鰺ヶ沢駅からわさおイカ焼き屋まではタクシーで1000円くらいの距離がある。余談だが、タクシーの運転手には「わさおの店まで」と言えば通じるし、タクシー無線でも「わさおまでー」と本部に連絡している。 普段なら全然歩ける距離だが、この日はあいにくの吹雪のため路面も半分凍っており、ぼくはふつうのスニーカーを履いてきていて、これがやたらと滑るためまともに歩くことすらままならない。(後の話になるが、別のところでは「この時期この辺でそんな靴を履いてる人は誰もいない」と言われた) そのような状況もあり、イカ焼き屋の人にタクシーを呼べないか相談しようかな、と思っていたら、わさおの飼い主母さんが駅まで送っていくと提案してくれた。渡りに船の大変ありがたい話で、甘えるのも悪いが甘えない必要も無いと思ったので喜んで甘えることにした。 (※常にそのようなサービスがあるものと期待してはいけません。念のため) わさおの愛車でもある軽トラックの助手席を少し片付けて、ぼくが座れるようにしてくれた。わさおは荷台によく乗っているが、助手席に乗ることもあるそうだ。 車中での雑談では、わさおも動物であり、またそれがかなり強い部類のそれである以上、見物客に何かあってはいけないということを充分留意しているところを強く感じた。 元々どこかのブログから火が付いて、それからテレビにでたりなんだりでぼくのような観光者も来たり、映画化(!)したりまでするようになった一方で、なるべく普段通りの生活を維持しようと意識しているところにいたく感動した。この手の田舎の店なんかで、テレビに出たとたんテングになったようなところをぼくは沢山知っている。 そんなわけで飼い主母さんこと菊谷さんには駅で降ろして貰い、何度もお礼を言った。正直、わさおよりもイカ焼き屋の母さんやチビのほうが印象に残っている。また、寒くて寒くて仕方がない頃に訪れたい。