光景ワレズ

KOUKEI-Warez photography

表現

Leica MP / Summar 5cm F2.0 (HP5 PLUS)

【東長崎 喫茶Neggyのマスター】

散歩しているときにたまたま見つけて、他に何店か喫茶店があったが唯一客が一人もいなかったので入った。先代から引き継いで、一部はそのままに、一部は改装したりという感じで、ぼくのようにクソボロだったり不潔な店でも全然平気、というわけではない人にもおすすめできる、ほどよいレトロ感と清潔感がある店だった(でも個人的にはもっとボロいほうが嬉しい)。 油絵が飾ってあったので、マスターが描いてるのですかと問うと、たまに自然の多いところに出かけては描くという話で、1日で完成しない場合が殆どだと思うがそういうときはどうしてるのかとか、油絵ならではの立体感の付け方はどうしてるのかとか、そんな油絵と写真の特性の違いなどについて少し談義をした。ひとつのシーンをわずか250分の1秒で切り取る写真と、数日〜数週間もかけて完成させる油絵とは何もかもが違う。

ぼくは絵のことはよくわからないし、もっというと音楽や芝居や映画、漫画など芸術全般についてそれほど偉そうに語る素養を持ち合わせてはいない。写真だって勿論ちゃんと勉強をしたことはない。ただ、芸術一般においては、自身への入力の乏しい人は、質の高い出力ができない、ということは特別な才能でも無ければほぼ間違いないと思っている。とくに写真のように手軽に誰でも練習も基礎もなしにできる表現手段ではそんな罠に陥りがちだ。いい写真を撮る人は、いい写真を沢山見ている。小説なども、結局文字が書ければ取り敢えずのモノができてしまうので、実は自分は全然小説を読まないのに書きたがる人ばかり多い、という話も学生時分によく教授が言っていた気がする。そういう自戒を念頭に置いて、なんでも雑食に、貪欲に自分への入力にすること、それを効率よく消化吸収すること、そして排泄というか出力の質を高めることを意識している。つまるところ好き嫌いせずに食べて、適度に運動をして、ちゃんとうんちをしましょうということである。実にシンプルだ。また好き嫌いをしないというのは、嫌いなモノを無理矢理食べるのではなく、そこにある本当に味わうべき味のポイントを理解し、好きになるところにある。ぼくは「好き」の幅が残念ながら狭いので、ここが当面の課題である。

店はカウンターしかなかったが、その席のうしろの棚には電源の入りっぱなしなノートPCと、入門マニュアルのようなものが開きかけて置いてあった。客がいないときはいろいろといじっているのだろう。こうやって新しいものを吸収しようと努力している人は素直に尊敬する。ぼくはどうやってもモバゲーにもグリーにも興味が持てないもの。


…というわけで、もともと趣味の散歩と喫茶店・レトロ系飲食店巡りから、タイミングと流れによってはそこのマスターやマダムを撮らせてもらったりしている。お店の紹介系ブログは多々あって日々本当にありがたく情報を利用させていただいているが、ぼくは弊ブログにおいてはよそより濃いめに紹介できるところに絞って紹介してみたりしたい。 (もっとも、回っている店の数もストックとしては多いので、いずれ別ブログで紹介できればなあとも思っている)